「ユナイテッド93」[2006年08月20日(日)]

この映画は、今の時代を生きている者として、そして愛すべき人を持つ者として絶対に観なければいけない作品です。
ついちらっと見てしまった批評でも触れられていましたが、本作は、全篇を通して登場人物の誰にも肩入れすることなく、ある意味淡々と、されど決意や混乱といった心情については極めて丁寧に描いています。
決してエンタテインメントではありません。だから、いわゆる雑魚キャラなどは存在せず、出てくる人たちは皆その命を賭けて、この突然起きてしまった事象に対処しようとしています。そこには如何なる思想も入りようがありません。
本作の公開に当たっては様々な反応がありました。当然監督はそれを見越した上で敢えて製作に踏み切ったわけです。それは、この93便の乗客が下す決断とも通じる使命感だったのではないかと感じています。この出来事を誰かが形にして残さなければいけない。その作業には時期が早いも遅いもないのです。
2001年9月11日。ぼくは当時南米に勤務していました。NYのサマータイムはぼくが住んでいた地域より1時間早かったため、事故の第一報を見たのは丁度午前8時。まさに職場へ出かけようとしていたときでした。
南米は日本からの直行便がないため必ず米国の空を通過します。経済や人的交流においても南米諸国はまず米国を意識せざるを得ません。そのような場所から事の成り行きを眺め、あの日を境に世界が大きく変わったことを実感しました。日本にとっての終戦に匹敵するくらい9.11は大きな歴史の転機となったのです。
その歴史の大きさの前にはどんな言葉もありませんし、それを理解して真摯にかつ丁寧に描いた監督の姿勢に対しても、全面的に賛同します。故に今回の減点は以下の2点のみです。
・どんなに忠実に再現しても、それが実際の状況と同じであるかどうかは永遠に分かり得ないということ
・普通は採点対象とはしないことだけど、前評判をある程度聴いてから観たため、一部先入観を持ちながら鑑賞してしまっていたこと
(98点)
Posted at 01:32 | 映画(2006) | この記事のURL | Clip!! | コメント(2) | トラックバック(15)

あの日は同じ時間軸の世界で、仕事も手につかず、固唾をのんで見守っていました。
数日後には、同じ職場の人間がNYに救援隊の一員として赴きました。
宗教や民族の対立に資源ナショナリズムまでが加わった新しい世界の構図は、あれからより複雑化し、世界を混迷に陥れてます。
なかなか解決策が見えないのが悲しいです。
Posted by:クラム at 2006年09月27日(水) 01:39